短編集‥*.°



…え?なに!?


いきなり手の平に乗った固い感触を、
放り出しそうになった。


え、これなんなの?


今まで何にもなかった手の平に、
何かが――。


…そっと手を下ろし、手の平を覗いた。


…見覚えのあるその物体、
赤、白、黄色、桃色。


…幾つもの角、まるで、星の落とし物。


「――…こんぺい、とう?」


…アタシの、
星空に伸ばした左の手の平の中には。


…溢れんばかりの、色とりどりの、
こんぺいとうがあった――。


…なんで、今まで、
手の平には何もなかったのに。


いきなり、こんぺいとうが…?


…一粒 右手の人差し指と親指で、
つまんで見る。


固い感触。


普通のこんぺいとうっぽい。


…歯磨きを済ませた口の中に、
恐る恐る桃色のこんぺいとうを入れて、
奥歯で噛んでみた。


カリッとした軽い音の後、
アタシの口の中には、甘い甘い、
優しい味が広がっていく。


…美味しい。


…好きだったっけ、こんぺいとう。


最後に食べたのはいつだっけ、
と記憶を想起してみる。


昔は良く食べてたのに。


…近所の駄菓子屋で買って、
とっても美味しかったこんぺいとう。


今の今まで忘れてた。


昔はその駄菓子屋で、毎日、
こんぺいとうを買った事。