あともうちょっとで学校!
あの角を曲がれば、すぐ!
思いっきり鞄を振りながら走って、
食パンを食べる。
食パンを食べ…終わった!
あとは、
走ってあの曲がり角を曲がるだけ!
すぐそこに学校が!
食パン食べ終わったから、
走るスピードをもっとあげた。
その瞬間──曲がり角から出てくる人を
見た。
でも、急いでて、
あんまり見えてなかった。
ただ、これは思った。
…止まれぇぇ!!!
「…グフっ!!!」
…出てきた人に、肘鉄を、
くらわせちゃったみたいで…
その人は、倒れた。
…え、倒れた…の?
「ええっ!?
だ、大丈夫ですか!?
ねぇ、だいじょう…」
「…っ…!!」
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
無理だよ、この人!
大丈夫なんかじゃないよ!!
「すっ、すいません!!弁償します、
慰謝料払いますからぁー!」
「っ…い、良い…」
…あれ…
聞こえてきたのは、
これ以上ないんじゃないか、
っていうような凛々しい声。
…え、こんな時に不謹慎だけど…
『桜風』…の…
出会いの…シーンみたい。
最初はこんな感じで、
琴音ちゃんが肘鉄をしちゃって…
それが、速水…くん…で…?
—— 一瞬、私の心臓が
止まったような気がした。
目の前の人の顔が、見えた時。
顔が赤い、その人…
「っ、いってぇ…
だ、だいじょう…ぶ…」
私の黒髪よりもサラサラの、
地毛らしい茶髪。
目は、自然な茶色。
さくらんぼ色の、唇。
整った…否、整り過ぎたような、
端正な顔立ち。
…速水くん、そっくりだった——。



