短編集‥*.°



・・・もしもし。


僕だよ、僕。


寝てたかな。


起こして、ごめん。


我慢ができなくなってさ。


・・・え、用件はなんだって?


・・・はは、
相変わらず話の先を急かすね。


もう少し
ゆっくりしても良いんじゃないかな。


あのさ、最近・・・
毎晩 毎晩 君の夢を見るんだ。


いや、もはや幻覚って言っても
良いかもしれないな。


起きてる時・・・君のマボロシをいつも、
視界の隅に見るんだ。


微笑んで僕の方を見ている
君の姿が見える。


ここ一ヶ月は
君の姿を見てないはずなんだけど・・・。


うん、君も僕の姿を
見てないはずだよね。


もし君が僕の姿を見ていたら、
僕は君と会ったことを知らないか、
忘れているってことになるし。


・・・まあそんなこと、
君を愛している僕には
絶対に無いことなんだけど。


元気かな。


実は、恥ずかしい話なんだけど・・・
またさっきリビングのドアの前に、
君の姿を見た気がしてね。


不思議で不思議で。


それで、久しぶりに声を聞きたい、と
思って君に電話をかけたんだよ。


・・・え、それだけかって?


冷たいなあ・・・一ヶ月ぶりに
声を聞いたんだからさ、もっと優しく
してくれたって良いのに。


・・・まあ、それが君か。


ねえ、一つ聞いて良いかな。


待って、
切らないで、手短に話すからさ!


・・・君って、僕のこと、愛してる?


・・・愛してる。


わかった。


変なこと聞いて、ごめん。


おやすみ。