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「それで3階から1階の被服室と調理実習室まで全力ダッシュしたの。」








「ふは、そっか。夢空楽しそう。」








「うん、…すごい楽しいよ。友達も一緒にいて安心する時が増えて、前よりもずっとずっとクラス内も居心地が良いんだ。」








美術室で、新しく持ってきたキャンバスをイーゼルに乗せながら椅子に逆向きに座って、背もたれに腕を組む琉空と話す。








前の絵を描き直すために持ってきた白いキャンバス。








…ここから、どんな色でも世界でも広げることが出来るんだ。









『誰に言われたわけでもないのに、夢空は絵だけは昔から描き続けてたから。…私は、何1つ楽しませてあげられなかったから、夢空が楽しそうに絵を続けてくれてるのが本当はすごく嬉しかったの。』







お母さんに言われた言葉を思い出して、また心がフッと軽くなる。








……そう言ってくれるなら。私が絵を描くだけで喜んでくれるなら。









何回でも描き直せちゃいそうだ。









「…あ、夢空委員会決めた?」







「結構前に。琉空まだ決めてなかったの?」







「先生が華麗に忘れてたよ?しかも余ってるの保健委員しかないって。」







「私、図書委員。」







「あ、違う。ショックだ。」








顔を伏せて落ち込んだ様子を見せる琉空を横目に若干笑いながら、パレットに色を広げる。








背景の空を塗るために青系の色を出して、色の濃淡を出しながら混ぜていく。









「琉空、私しかも代表じゃないからもし委員会が一緒でも仕事皆無だから関係ないよ?」








「あ、そういうこと言うんだ?追い打ち?」







「ふふ、なに拗ねてんの。」








明らかにいじけている琉空はもう放置することにして、絵に取りかかる。