そんな私に気づいているのかいないのか分からないど、上から明るい声が降ってくる。







「ねえ、見て。昨日あんなに土砂降りだったのに、もう今日は青空だよ。」








涙を拭いながら、琉空が指さした窓の先を見ると、まるで青い絵の具を重ねたような空が広がっていた。








"快晴"って呼ぶのに相応しい、澄んだ青空。









「…雨が降っているのをよく"空が泣いている"って言うじゃん?でも、雨が上がった後の空って、前以上に晴れやかで鮮やかな青色な気がするんだ。…まるで、涙が溶けて希望が生まれたように。…例えるなら、そうだな、…涙色、みたいな。」






「…涙色の空、ってこと?」







「…うん。曇って雨が降ったからこそ、空は綺麗になるんだよ。悩んで、つまずいて足掻いたからこそ、綺麗な世界が見えるんじゃないかな。…だから、夢空もきっと見えるよ。…俺たちの名前とお揃いの涙色の空が。」









何よりも透き通った声で話す琉空に、ふっと視線を向ける。








琉空は真っ直ぐに窓の先を見つめていたから目は合わなかったけれど、瞳に映っていたのはどこまでも果てしなく続く空。







…本当に私にも見えるかな。見えたらいいな。









"琉空と夢空"。私達とお揃いの、空。








君が今見ているように、私にも涙色の空が、いつか見えるのかな。