「なんで笑うの?」
「ん?ううん、琉空は素直だなぁって。」
「えぇー…、初めて言われたかも。」
ニコニコしながら言われた言葉に、意外だと思う。
琉空くらい感情を出せる人なら、誰にでも言われそうなのに。
…まあ、そういうものって言われれば何も言えないか。
「夢空は、偉いね。諦めずに頑張って。…俺とは大違いだ。」
「…何それ。」
窓際の棚の部分に腰掛けて足をプラプラ遊ばせている琉空に若干笑うと、いつもみたいに微笑まれた。
そのまま、トン、と軽やかに棚から下りて私の近くにやってくる。
……どうしたんだろ?
頭に疑問符を浮かべていると、優しく頭の上に琉空の少し大きな手が置かれて、撫でられた。
「頑張ったね、夢空。」
……ああ、もう本当。琉空はずるい。
溶かすように、包むように、琉空が放つ言葉全てが魔法にかかっているようで。
…私の心にどうしてそう入ってくるんだろう。
頑張ったね、ってたったそれだけの言葉。
それなのに、思わず涙が滲んでしまう。