クラスをぐるっと見渡すとみんな目を伏せているけど、何かを考えているようで。









目の前の理緒の顔色を伺っているみたいだった。










「あんたたち、夢空の言うこと聞くつもり!?私に逆らったらどうなるか、わかるでしょう!?」







「…理緒、もううんざり。…私は、夢空にひどいこと言っちゃったけど、すごい後悔してた。理緒が怖くて、あんなことしか言えなかった弱い自分にはもう戻りたくないの。」








キンキンとキツイ声を出して言った理緒に静かに反論したのは、彩だった。









隣で夏芽が、「彩、何言ってるのっ!?」なんて、焦ってるけど、彩が少し困ったように眉を下げて私を見ながら微笑む。








「ごめんね、夢空。ずっと謝りたかったんだ。今更虫が良すぎるかもしれないけど、夢空のこと、嫌いなわけないよ。」








そっと壁から私の元へ来てくれる彩に、私も少し泣きそうになりながら微笑んで頷く。








…ああ、昨日から涙腺が脆すぎる。









「俺も…、もう理緒には付いていけない。」








「…私も。夢空ちゃんの意見に賛成。」










彩と渚沙が震えながらも私のことを庇ってくれたのがきっかけなのか、クラスのみんなが徐々に俺も、私も、と私の周りに集まってくれた。










残るのは、怒りが限界を迎えそうな理緒と、その周りでオドオドしている理緒軍団と、夏芽。









「ほら、夏芽!いつまで意地張ってるの!?夏芽だって夢空のこと、心配してたくせに!」









彩が夏芽を呼ぶと、気まずそうな顔で私を見る。








……今にも泣いてしまいそうな顔だった。









「…夢空。」







「…なに?」







「…私、変えられないって言った。このクラス変えられるわけがないって。ひどいことたくさん言った。夢空が苦しんでる時に追い打ちかけた。…私は本当は夢空に合わせる顔なんてないよ。」








「…うん。」









「……でも、夢空は、変えたね、このクラス。……ごめんねっ、夢空…。謝るくらいで許してもらえないことたくさんしたのに…っ、夢空がさっき言ってるの聞いて、私何やってたんだろうって…。本当っ、遅いのにっ…、…ねえ、夢空こんな私も変われる?自分を見失わずに、大切なものを見つけられる?」









「…うん、夏芽なら、絶対見つけられる。」









私が微笑めば、涙を流しながら夏芽も微笑んで、私の隣に来てくれた。








「…っ、勝手にやってろ!!」










怒ったように叫んで出て行った理緒と、それを気まずそうに顔を見合わせて理緒軍団がそれを追いかけると、クラスの空気がふう、と和らぐ。









「…みんな、ありがとう。勇気、出してくれて。」








「…夢空の方が、だよ。ありがとう、私たちを、このクラスを変えるきっかけをくれて。」









頭を下げてお礼を言えば、優しい彩の声が聞こえた。










変わらない、仕方ないって諦めていたこのクラス。









…ねえ、琉空。







私も、変えられたよ。







こんな私でも、大切なもの、たくさん見つけたよ。