「私は夢空に関わらない方がいいんだって思って、そうしていくうちに、夢空にどう接すればいいかわからなくなっちゃって。…っ、今までどう接していたかもどんな顔で話せばいいかもわからなくて…、っ、結衣には笑えるのに夢空には笑えなくて、何もかもがもう遅かったっ…。」
手で涙を拭いながら話すお母さんに、私までつられる。
知らなかった、お母さんがそんなに苦しんでいたことも。
結衣の方が、優れているから可愛いから、私は愛されないんだって思ってた。
「他人に言われるがままにしちゃって、あの時夢空のことを1人にさせなければって何回も後悔したのにいつも冷たい態度をとって、ごめん、ごめんねっ…」
「…、お母さんっ…、いいよ、私のことを考えてそうしてくれたんでしょう?なら、十分だよ。」
お母さんの選択は正しくなかったかもしれないけれど、私のためを思ってくれたのがきっかけなら、それで充分。
ずっと私のことなんて、見てくれてないと思ったから。
お母さんが私のことを考えていてくれただけで、私は幸せだと思う。
「…お母さん、これだけ質問させてっ…?私のこと、…1度でもいらないって思わなかった?結衣だけがいれば良かったって思わなかったっ…?」
「そんなこと思ったことなんて一度もないわよっ…、いつだって夢空のことを、大切に思ってた。…大好きよ、今までもこれからも。」
…ああ、なんでこんな当たり前のことに気付けなかったんだろう。
知ろうと思わなかったんだろう。
お母さんの言葉に、比じゃないくらいの涙がボロボロ零れる。
「っ……お母さん、私は、…っ、ここにいてもいい?っ…美浜夢空、としてこの家にいて、いい?」
「当たり前っ…、大切な私の娘だから。」
そっとお母さんが伸ばした手が私の頭に触れて、撫でてくれる。
泣き止むまで、まるで子供みたいにお母さんのそばを離れなかった。


