「夢空に、さっき言われて改めて気付いたのっ、…夢空、ごめんねっ…。結衣と平等に愛せなくてごめん、夢空を1人にさせて、ごめんねっ…。良い母親でいれなくてごめん…っ。」
ひたすら"ごめん"を繰り返すお母さんに言葉を返せないくらい、涙が溢れてきた。
ずっとずっと、私はいらない存在なんだって。
お母さんにとって私はどうでもいいんだって。
でも、今、お母さんは私を見てくれている。
私のために、泣いて、くれてる。
「…夢空が頑張っているの知ってたのに、夢空が辛いのも分かってたのに、どうしたらいいのか、分かんなくてっ…、何も出来なくてごめんね、っ…。」
大人なのに、どうしたらいいのかわかんない、なんてきっと誰かが聞いたら言い訳だっていうかもしれない。
…だけど、責めたい気持ちも何もなくて。
だって、この人は紛れもなく私の大切なお母さんだから。
その言葉でさえも、涙を止まらなくさせる。
「うっ、…お母さんっ、…ごめんねっ…。私も結衣みたいにいい娘でいられなくてごめんっ…」
「…違う、夢空は夢空よ。夢空だけの素敵なところ、見てきたから全部知ってる…っ。夢空は十分いい子だったのに、ごめんねっ、…。苦しめて、傷つけて、ごめんね…っ。」
…ねえ、私のこと今まで見てくれていたの?
もし、そうだったのならまた壊れるほど泣いてしまうくらい嬉しい。
心を支配していた黒の感情が、少しずつ透けていく気がして。
…お母さんの背中に私も腕をまわした。


