涙色の空をキミに。









そのあとも他愛ない会話をして歩くと、段々私の家が見えてくる。









…足を止めたくなったけれど、ここで逃げたら今までと一緒だから。









「…琉空、もうそこだから大丈夫、送ってくれてありがとう。」








「ううん、俺も夕食買わないといけないし、平気。」









…ああ、そういえばさっき夕食買いに来たって言ってたね。









納得して、じゃあ、と背を向けようとした時、










「夢空なら大丈夫だよ、頑張れ。」









って穏やかに言うから。










「…うん、」










さっきまで憂鬱で仕方なかった家への足取りが少し軽く思えて、琉空に軽く手を振りながら駆け出す。









…お母さん、怒ってるかな。









結衣はもう家に帰ってるよね。









なんて色々考えながら走ると、家はもうすぐそこで、「…ただいま。」って小さい声で言いながら入った。








「誰も…、いない…?」









廊下を歩いても、明かりが点いたままのリビングに行ってみても、誰もいなくて。









お母さんは私のことなんて興味すらないようにリビングか部屋にいるだろう、と思っていたけれど誰もこの家にいないみたいだった。










…もしかして私がいなくなって、お母さん嬉しくて結衣とどこかに出掛けたのかな。









お母さんにとって、結衣だけが娘の方が嬉しいんじゃないのかな。









ああ、ダメだ。あんなに元気をもらったのにどうして私はこんなにも、卑屈になってしまうんだろう。








『夢空はもっと自分を大切にしな。愛してあげな。』








自分をどうしたら愛してあげられるの…?










「夢空っ!!」









泣きそうになって顔をしかめた瞬間、玄関の方から焦ったような声が聞こえて振り向く。