涙色の空をキミに。









目的の階に着いた途端静かに開いたドアから、琉空に続いてエレベーターを降りる。









「ここだよ。」








少し廊下を歩くと、鍵を差し込みながら琉空がそう言ってドアを開けてくれた。









『1410』という表札に刻まれた文字を眺めながら「お邪魔します…」と呟いて家の中に入る。









「ただいまーっ、夢空とりあえずタオルがいるよね、…持ってくるからちょっと待ってて。」










玄関に立っていると、パタパタと琉空が廊下を駆けて洗面所らしきところへ向かう。









微かに乾いてきたけど、私ずぶ濡れだもんなぁ…。









明日風邪引いても、それもそれでいいかな、ってバカみたいなこと考えていると、白いふかふかのバスタオルを琉空が持ってきてくれた。










「はい、夢空。スリッパあるから靴下は脱いで大丈夫だよ、上がって上がって。」










タオルを頭に被せたまま、琉空の指示通り濡れまくった冷たい靴下を脱いでスリッパを履く。









若干緊張しながらも、静かに琉空の後をついて廊下に上がった。









「えっと…、ごめん、シャワーとかできればいいんだけど替えの服とか一切なくて…。」









「あ、気にしないで。連れてきてくれただけで本当に感謝しかないから…。」










家にも帰れなくて、目的もなくて、ただひたすら暗闇の中、沈んでいた。









…そんな私に琉空が傘を傾けて手を伸ばして引っ張ってくれただけで、十分すぎるくらい嬉しかったんだ。