酸素がうまく吸えなくなって、家の近くにあった公園の中のベンチを見つけて座る。
「私に、どうしろって言うの…」
相変わらずの激しい雨が身体中を打ち付けて。私が呟いた声は雨の雫に吸い込まれた。
精一杯頑張ったつもり、なんだ。これでも。
例えどんなに意味がなかったとしても、私なりに頑張ったつもりだった。
…そう、全部が"つもり"にすぎなくて、結局なんの価値もなかったんだけど。
びしょ濡れになった体にだんだんどうでもよくなってくる。
容赦なく降りかかる雨。
いつの間にか、夜に近づいた空は闇に染まっていて、さすがに寒い。
でも、もう、いいよ。
…どうにでも、なればいいのに。
目を閉じて、痛いくらいの雨に身を任せていたら、突然、頭上で雨が、
止んだ。
「…どうしたの。」
ああ、やっぱり。
最近聞き慣れた、耳に馴染む柔らかい声。
「どうしたの、夢空。」
心地いい声色で、私の名前を呼ぶ。
…やっぱり君だったんだね。
琉空。


