何も言わない私に舌打ちをして、周りを見渡し始めるまた"あの合図"。











何も感じていないような目をしている私に追い打ちでもかけるつもりなんだろう。











自分に逆らうとこうなる、このクラスは変わらないって全体に知らしめるように。









「夏芽、そろそろ夢空に言ってあげな?事実を。」







「…事実?」







「夢空のことどう思っているか、とかさあ。」










髪の毛をいじりながら言う理緒が狙いを定めたのは夏芽。











彩と夏芽を指名するあたり、本当に私を攻撃したいんだな、なんて察した。









私の後ろの方にいるから夏芽は見えないけれど、きっと顔を歪めていると思う。










…また、2人を巻き込んじゃったな。









それでも、振り返ることなんて、出来なくて。










振り向いて夏芽をみたら、僅かな期待と希望が漏れてしまいそうで。











夏芽は空気を読んで何よりも理緒の望んだ答えを言うから、その答えは多分昨日の彩以上の私への拒絶だって、わかっているのに。











「…好きじゃないよ、身勝手な判断で、クラス全体を巻き込んだ。……本当に、嫌。」











静まり返った教室に響く感情のない夏芽の声。








………、ほら、ね。







頭では理解していたはずなのに、心がまたぎゅっと締め付けられた気がした。









痛くて、痛くて、何も考えたくなくて。









溢れそうにない涙に少しだけ安心しながら唇を噛み締めて俯く。










期待なんてしなきゃいいのに。それなら裏切られても楽なのに。










どうして、私は、このクラスが変わることを諦めきれないんだろう。