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「夢空さぁ、まさか自分はいじめを止めました、偉い子なんです〜!とか思ってるわけ?ぶっちゃけそんなのなんの価値もないから。」
「………。」
次の日の朝から私の席の前で腕を組みながら笑ってそう言う理緒を見ないよう俯く。
理緒の言葉に言いたいことはたくさんあったのに、言い返す気力さえ、なかった。
……渚沙が前に、何も変わらないと思って何か言うのをやめた、って言っていたけど本当、その通りだな、なんて。
今の私はきっと虚ろな目をして、なんの光もうつっていない。
…前の私に考え方が戻ってしまったみたいで。
そんなの嫌なのに、抗えなかった。
「…私に抵抗するからよ。あんたの小さな抵抗なんてクラス全体で塗り潰すから。」
いつもより小さい声で、私にしか聞こえないように言った理緒を見上げる。
理緒の味方には理緒軍団が居て、クラス全員が怯えながらも理緒に付く。
…そりゃあ、私の薄い色なんてすぐにかき消されるはずだ。
黒より強い色なんて、ない。


