あっという間に食べ終わって食器を片付けていると、お母さんがわざとらしく咳き込んで私を見た。
「それ、洗っといてくれる?」
「…わかった。」
何の感情も含んでない刃物のような声で私にそれだけ告げると、洗濯物を畳みだす。
それを確認した私はそのまま洗剤とスポンジを取り出して食器を軽く洗ってから食洗機に突っ込んだ。
ピ、ピ、と音を立てて操作すると、動き出した機械にため息をつく。
淡々と決められた仕事だけをやって、それ以外は温かさも何もない、なんて本当機械みたいな親子。
無言のままリビングから出て、鞄とともに自分の部屋に向かった。
足音も立てる気分にもなれなくて、静かに階段を上がって部屋に飛び込んだ瞬間、
ズルズルと壁伝いに座り込む。
電気を付けることすらも嫌になって、暗い部屋の中、体育座りをして顔を膝に埋めた。
ぎゅう、と強く強く自分を引き寄せて縮こまる。


