涙色の空をキミに。








「夏芽っ、もういいでしょ…?」








彩の静かに宥めるような声が聞こえて、夏芽が一回大きく深呼吸をした。









理緒がいなくなっても私達がここで言い合いしたら確かに空気が余計に悪くなってしまう。










お互いに顔を逸らして、俯く。










「とにかく、もうこれ以上は大人しくしてた方がいいと思うけど。理緒怒らせたら何が起きるかわかんないし、そんな薄っぺらい期待なんかで動かないで。」











夏芽が冷たくそれだけ言って彩の元へと帰って行った。










それを見届けて、まるで重力だけが存在して引き落とされるように椅子に座る。












…薄い?何が薄いの?









私が変えたいって動いた勇気も覚悟も何もかも意味がないものなの?










このクラスが変わるなんてそんな現実味がないことわかっていた。










確かに薄い希望だよ、淡い期待だよ。










でも、それを信じるのはそんなにダメなの?









「わかんないよっ…。」








私が放った言葉は、誰にも届かなくて。










空気の中に溶けて消えた。