「うっざ!すっごいうざい!みんなもうざいと思うよねえ!?」
「…そうそう!すっごぉーくうざいのぉ。ちょーっと可愛いからってねぇ?」
「っていうか可愛いって言うのも同情って言うかぁ。」
「みんな気遣ってるってことに気付けよって感じぃ?」
理緒が問いかければ理緒軍団が口を揃えて悪口を渚沙へ叩きつける。
それでも渚沙は顔を上げないし、言葉を発しない。
…元々渚沙は大人しい性格だったっけ。
お昼休みの今は先生もいないから理緒達はやりたい放題だし。
…先生達がいたとしても、黙認のような状態で何も変わらないけど。
無反応の渚沙にイラついたのかチッと理緒の舌打ちが聞こえて、キョロキョロと辺りを見回し始める。
その行動に空気が固まる教室。
…辺りを理緒が見回し始めたら理緒軍団以外に渚沙への攻撃をさせようとしてる合図だ。
「…あは。じゃあさ美穂ちゃん。渚沙ってうざいと思わない?」
「…えっ、あの。…お、思う。すごく、う、うざいかな。」
狙いを定められたのは隅っこで俯いていたみほちゃん。
オドオドしながら待ち望んでた答えを言われた理緒は満足そうに微笑む。
「うふふ。そーだよねぇ?…うーんと、他は誰にしようかなあ。」
「…げ。まだ今日はあるの?」
いつもは1人に聞いたらそれで終わるのに今日は理緒の機嫌が悪いらしい。もう1人を探し出した。
彩の小声だけどもうんざりした声に「…勘弁してほしい。」と私も聞こえないように言い返す。
「…あ!じゃあ夏芽!夏芽はどう思う?」
「…どう思うって何が?」
「渚沙のこと。」
「あー、うん。うざいね。」
サラッと真顔で言える夏芽は人一倍空気を読む能力が高い。
だから理緒のお気に入り。