「夢空、絵上手いよね、なんか目指してるの？」
「…いや、趣味で描いてるだけ。」
琉空の言葉に筆を動かしたまま一瞬考えて、否定した。
…自分の絵がそこまで上手いとも思ったことはないし、
何がしたいか、とか将来の夢なんてまだ全然決まってない。
「そうなんだ、でも夢空すごい幸せそう。」
「え…？」
柔らかくそう言った琉空に思わず聞き返す。
……絵を描いてて幸せそうなんて初めて言われたし、そんなにわかりやすいつもりもないのに。
「絵、好きなの？」
「…うん。」
「俺、夢空の絵好き。まだ完成じゃないけど半分でも分かる、俺夢空の絵きっと好きだよ。」
ふふ、と笑った琉空にきっとって失礼だな、とか少し思いながらも、
静かに心に落ちてくる言葉に、口角が少し柔らかくなるのを感じた。
本当、琉空って変。
「琉空は？初登校日はどうだったの？」
「んー、やっぱ3年目だから知っている顔も多かったし、なんか元気いっぱいなクラスだった。」
「ふうん…」
せっせと色を付けながら話を聞いているから琉空の顔なんて見えないけどさっきみたいな楽しそうな顔を浮かべているんだろうなって思った。
他のクラスがどんなクラスかはあんまり聞いたことがないけど、私のクラスよりはみんながイキイキとしている気がする。
そりゃそうだ、どっちかって言ったら私のクラスが異常なんだ。
