夏芽と彩は昨日のあれ以来一言も喋っていなくて、案外脆いなあ、って分かりきっていたことだけど、










ほんの少しだけ心が沈む。










ガラガラ、と音を立てて入ってきた先生の姿に、本の中身が頭に入るように読む体勢になってみるけどさっぱり内容は入ってこなくて。









これからどうしようかな…、と落書きのある机の上で悩んでみる。










もう孤立し始めた私。










でも、それでも戻ろうとは思わない。











『今の自分は好き?』











私は私のやり方で。この世界を変えた。










…前の私よりもずっと、今の私の方が好きだ。










合わせて溶けるよりも、今みたいな方がずっと私らしい。











濁っていた私の世界も、…ほんの少しだけ色づいたように見えるから。










「朝読書の本をしまってください、これから朝の会を始めます。」










日直の声にハッと意識を戻して、本を閉じる。









結局少しも内容入ってこなかった…。










1ページも進まなかった本を机の中にいれて、挨拶をするために立ち上がった。










「「おはようございます」」











なんてことのないそんな言葉で始まる今日。










その挨拶が、私だけには新鮮に感じた。