「…夢空!何してんの!?理緒めっちゃ怒ってたじゃん!」








「彩の言う通り、いきなりどうしたの!?」









そんな中駆け寄ってくる夏芽と彩を確認すると、2人が焦った顔をしながら私の目の前にいた。










「…どうしたもこうしたも、このままなんて嫌だったから。」









「だからってそんな理緒の恨み買わなくても…、またいじめが酷くなるかもしれないんだよ!?」









説得するように語る夏芽に、静かにため息をつきたくなった。









夏芽と彩が心配しているのは、もしかしたら火の粉が自分たちにもかかってしまうかもしれないから。









きっと私がターゲットになったら、自分たちが攻撃される可能性が高くなるから。











「…ごめんね、それでも、変えたかった。」









私がそう言って謝ると、何も言えなくなったみたいに目を伏せた2人の奥に、何か言いたそうな渚沙が見える。








私と目があうと、口をパクパクさせているけどよくわからなくて首を傾げた。








…何か伝えたい、ってことだよね?









「あ、ありがとうっ、夢空ちゃん!」









もどかしくなったのか、少し遠い場所からそう声を出して叫んだ渚沙に私も含めたクラスのみんなが驚く。







私以外のみんなは多分初めて渚沙の声聞いたんだろうな…。







「………うん。」







私が頷くと少し照れ臭そうにはにかんだ渚沙が見えて私も自然と口元が微笑んだのを感じた。









きっとこれから容赦ない現実が待っているんだろうけど、そんなの立ち向かうしかない。










自分の気持ちを伝えたこと、渚沙を助けたことに後悔なんて、これっぽっちもないから。









…それに、色を失くした私の世界は、きっと昨日よりも鮮やかで綺麗に見える。