「…1人の方がずっとラクで、楽しかったの。誰かといると上手く笑えなくて。でも独りにはなりたくなかった。だから無理にでも合わせて居場所をつくったのに、…よくわからなくなった。」







「…どうして?」








「今日渚沙と話して、…私も渚沙も変えたい変えたいって口だけで言って、実際に変えるためにこれっぽっちも何の行動もしてなかったなあ、って。変える努力もしてないのに、変わらないって諦めてた。自分の居場所が息苦しいのに、何も変えようとすらしてなかった。」








思い出すのは渚沙の、全部諦めてしまったような目。







…何かを変えるためにも動かなきゃいけないって分かってはいたけれど、








今の居場所を失う強さも無くて。








結局何もかも中途半端なままだ。








筆を持っている右手で、パレットに広げている色を少しずつ集めて、くるくると混ぜていく。









「1人1人が違う色を持っているから、それを混ぜると黒く濁るのなんて、当然で。1クラス30色の色を混ぜて、濁らないわけがない。…でも、それでも、綺麗な世界を信じてみたかった。濁った色も綺麗な色へ戻れるって思いたかった。」









パレットに広がった、黒く濁った絵の具を見て、小さく深呼吸して目を瞑る。









優しい視線を黙って送ってくれる琉空は、もしかしたら本当に知っているのかもね。









……ねえ、琉空。









私がこれからしようとしていることは間違っている?