「…私のクラス、力関係がはっきりと分かれてて、…いじめがあるの。」
「…そう。」
「友達もいて、楽しくないわけでも嫌いなわけでもないけど、その子たちとも時々どうしても合わない時があって、そういう時に、すごく、疲れる。」
ポツリ、ポツリと喉から絞り出すように、語る。
頷きながら聞いてくれる琉空の周りには、なぜか柔らかい空気が纏っていて、どうしてか何でも話してしまいたくなる。
「…いじめられてるのは雨宮渚沙って子で、私じゃないんだけど、…その子がクラス内でいじめられてるのを見るだけで、苦しくて。クラスの雰囲気も息苦しい。」
「…うん、そうなんだ。」
「いじめなんて嫌い。…早く終わって欲しいのに。」
「それは、雨宮のため?それとも、…自分のため?」
「……っ、」
…琉空はずるいと思う。
真っ直ぐにイタイところを突いてくる。
……本当にずるい。
「…見捨てるか庇うのか迷うから。庇ったほうがいいに決まってる、でもそれが出来ない。その矛盾しか相手にできない自分がどんどん嫌になる…。」
「そっか。」
それなのに、そんな最低な私に。
優しく包み込むような瞳をするから。
やっぱり、ずるい。
でも、胸が痛むのも事実で。
胸が痛んで高鳴って。
何だか泣きそうになる。


