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「夢空!どこ行ってたの!?」






「保健室。…あ、先生怒ってた?」






「プリント配ってないじゃん…って項垂れてたけど、怒ってはなかったと思う…」








2校時が終わって、3校時になる前に渚沙と一緒に教室へ戻ると、彩と夏芽に囲まれる。








まあ、誰にも言わずサボったことになっているから当たり前か…。










そう思っている間に今まで隣にいた渚沙がスッと自分の席へ戻るのを目で追う。










…何だか、ほんの少し右隣が寂しくなった気分。









「…何よりも…夢空、渚沙と一緒ってどういうこと?」







「どういうことって…。」







「理緒に目を付けられたらどうなるかわかるでしょ?何で、わざわざ渚沙と一緒にいるの?」








違う方に意識が行きそうになっていたのを必死に堪えて、呆れたように言う夏芽に視線を送る。








…左頬を腫らしているクラスメイトでも、その人物が"渚沙"だったら無視した方がいいってこと?









「…渚沙が怪我してたから。」







「夢空まで付いていく必要ないでしょ〜!?もう、渚沙のために理緒になんかされたらどうするの!?」







…渚沙のためにってどういう意味?







彩に肩を掴まれながら言われたセリフに、拳を握る。









何も出来なくて加害者とされてもおかしくない私に、渚沙はこれっぽっちも責めなかった。











渚沙は、…強いと思う。普通だったら見て見ぬフリなんかするクラスメイトにお礼なんて言えない。










「…うん」








でも、結局弱い私は独りになりたくなくて、怖くて。










違和感を感じながらも、頷くしか出来ない。