涙色の空をキミに。









職員室へ歩く途中に、3年4組のクラス名簿の1番上に配置されていた名前が目に入る。








『天川 琉空』








…本当に、この学年なんだ…。









驚きながらも、昨日のことを思い出す。









そういえば、私が帰るときに「すぐ会えるけど、またね。」って言ってたけど、もう退院なのかな?










柔らかい雰囲気を身にまとった不思議な人。









なんて、昨日初めてあったばっかりの琉空のことを悶々と考えているといつの間にか職員室の前で。







「失礼します、3年3組の美浜夢空です。理科室の鍵を借りにきました。」








挨拶をして、中へ入った。










そのあと鍵を無事受け取ったので、「失礼しました」とだけ言って職員室から出て、理科室へ向かう。











階段を上がれば案外すぐに理科室へ着いた。












カチャカチャと鍵を開けて扉を引いて誰もいないポツンとした空間に入る。










鍵を開けといたから、あとはプリントを配ればいいんだよね…?









机の上のプリントの束を見つけて、近づくと、近くにある理科実験室へ繋がるドアがカタ、と動いた音がしてビクッと驚いた。









…え、なに?なんか、いる…?









また、カタン、と動いたドアに恐る恐る近付く。










1校時はどのクラスにも理科はなかったはずだし、私以外に誰もここに来ていないはずだよね…?









「誰か、いるの…?」








小さく問いかけても返答はなくて、それでもカタカタと動き続けるドアの鍵に手をかける。









理科室に鍵があって実験室からは開けられない仕組みだから、もしかしたら誰かが間違えて閉じ込められたのかも。









そう思って、鍵を開けると、倒れこむように、









渚沙がドアから勢いよく出てきた。