◇『第一章』◇





何もかもに見て見ぬフリしかできなかった。





変えたくて、変わりたくて。





でも無力の私にはその方法がわからなかった。





新たな道を決めるのはどんな時でも自分自身だってわかってはいたけれど、




そんな勇気はどこにも持っていなくて。




自分の性格なんて関係なしに周りの色へ溶け込んで自分らしさを消し去った。





怯えることにも作り笑いももう慣れた。何も感じなくなっていた。






── きっと私の色なんて透明だ。