その時、美術室の開いていた窓から柔らかい風が吹き込んで私の髪を靡かせる。










ふと空へ視線をうつすと、晴れやかで鮮やかな色でどこまでも続いていた。









「ねえ、琉空。…私、見えたよ、やっと。涙色の空。」









ゆっくり私が伝えた言葉に琉空は驚いたように息を吸ったけれど、








…すぐに優しく微笑んでくれた。










「…うん、俺も見えた。」









…まだまだ子供の私たちはきっとこれから、理不尽なことも傷つくことも山ほどある。










でもその度に変わらないって嘆くんじゃなくて、変わる勇気を。変わる覚悟を。








諦めて不平不満を漏らすんじゃなくて、だったら楽しむ努力を。









傷つきながらもがいて、新たな未来への一歩を踏み出そう。








色褪せた世界にまるで色が戻ったように。








土砂降りの雨が上がった後には、必ず果てしない鮮やかな空が広がっているから。









どんな時でも。何色にでも変わるこの空を見上げて。








「ねえ、夢空。」







「…なに?」






「俺と出会ってくれてありがとう。」








笑うキミの隣で。








だから、ほら。









『涙色の空をキミに。』









─Fin.