その言葉で、空間の時が止まったように感じる。








「空いてしまった過去も、忘れてしまった過去も、今から過ごそう?」









言葉の震えを懸命に堪えながら、伝える琉空に余計に涙が溢れる。









少しして、百合さんが泣きながら「もちろんっ…」と答えたのが聞こえた。









…まだ百合さんの記憶が戻る確証もない。









何年も離れてしまって出来た溝は簡単には無くならない。









きっと幸せにお互いが笑えるまですごく難しい。








それでも、琉空が前に進む道を選んだから。








手を取って、お母さんと進もうとしてるから。









「…琉空、ありがとう。ありがとう、…っ。」








「なんで母さんがお礼言うの。」









泣きつづけてお礼を言う百合さんに、琉空が少し笑いながら答えて。








…正しい答え、なんて誰にも分からないけれど、








琉空の決めた覚悟を、私は応援したいと思う。