ドアに書かれている結衣の名前の下には、『天川 琉空』とだけネームプレートが入ってるから4人中2人しかいないみたい。






…でも、この名前何て読むんだろう。






「…り、ら…?りら?りゅうらかな。」






「ふはっ…!!りらって!"りく"って読むんだ、それで。」







部屋の中には入らず、何となく気になってボソッと呟いていると、後ろから笑い声が聞こえて驚きながら振り返る。






だけど、その瞬間目を見開いた。






漆黒の髪と同じ色の吸い込まれそうなくらい真っ直ぐに私を見る瞳。







スッと通った鼻筋に、形のいい唇。






男の人にしては、白い方で透明感のある肌。








…本当に綺麗な人、何て、息を呑む。








名前が間違えられたにも関わらず柔らかな表情で微笑んでいる同い年くらいのその人を見つめていたけれどハッとして、謝る。







「…ごめんなさい。私の名前は空って漢字で、"ら"って読むからてっきり。」






「…君の名前は?」






「ゆら。夢に空で、夢空。」







「ふうん、珍しい名前だね。」






「…あなたに言われたくないけど。」






「あはは!それもそっか!…でも、綺麗な名前だね。」








いきなり笑ったかと思えば、またふわっと微笑むから、なんだか不思議な人だなって思いながら、見つめる。







「そっかぁ、夢空って名前なんだ。俺はね、改めて言うけど、琉球の琉と空で琉空。天川琉空(あまかわ りく)だよ。」







「…そうなんですか。」






「うん、そうなんだ。…夢空と琉空。なんだか俺たち名前が似てるね。」








またにこやかに笑いながら言った突然の発言に思わず面を食らう。







確かに漢字の字面は似ているかも知れないけれど、初対面でいきなりそんなこと言われるなんて思ってなかった…。








続けて「俺は琉空でいいよ、夢空って呼んでいい?」なんて言ってくるものだから、余計に驚く。









人懐っこい笑みを浮かべる彼は、初対面とか気にしないのかな…。