「…琉空、」







ゆっくり教室に入って窓際の席に1人で座っている琉空に近づく。








いつの間にか雨が止んだ空を見ていた琉空が驚いたように私を見て目を開いた。









「…なんか久しぶりだね、夢空。どうしたの、部活は?」









「今日は琉空にどうしても会いたくて、絵はもう片付けてきた。」








「…どうして?」









恐る恐るのように透明な瞳が私の顔を覗き込む。










どうしてって、そんなの理由は1つしかないでしょ…。









少し呆れながら、琉空の右手首を掴む。









「…とっておきの場所、琉空と行きたいの。来て。」









「え、ちょっと夢空!?」









焦ったような声を出す琉空を連れて教室を出て行く。








…そういえば、前もこんなことあったな。









微妙にデジャヴを感じながらも琉空の手を引っ張って、昇降口に着いた。









「…夢空?どこ行くの?」








「だから言ったでしょ、とっておきの場所だって。」









そう答えると状況が分かっていない琉空も私の強引さに負けたのか戸惑いながらも、靴を履き替えて私についてきてくれる。









…途中で結衣に会ったら、今日は帰るの遅くなるって伝えてもらおうかな。










外に出ると、さっきまで泣いていた空が段々明るくなってきていたから安心する。










今から行くところは曇っていたら台無しになっちゃうから、ね。