涙色の空をキミに。









「─…七夕、か。」







美術室からしとしと降る雨を見ながら、キャンパスに色を乗せる。








…七夕に雨が降るのは、織姫様の涙だっけ。








そんなことを悶々と考えながら、開かれないドアに無意識に視線を送ってしまう。









百合さん達に会った日から1週間が経ったけれど、あの日から一切琉空とは顔を合わせていなかった。









…美術室に来なくて、クラスも違うから学校に来ているのかも分からない。









1人で考えたいんだ、と最後に会った日に言われたからそっとしておこう、と決めたんだけれど…。









今、琉空が泣いてないか、また悲しそうに笑ってないか心配になってしまう。









「相変わらず、…お節介だな。」








1人で呟いた言葉をかき消すようにせっせと筆を動かす。









7月7日。満天の星に願いをかける日。








七夕の今日、未だに私は涙色の空が見えていないみたい。