「…私がここに来たのは、琉空に今までの罪を謝罪するためよ。それに…、いつまでも真実を伝えずに琉空を傷つけていられないって分かっていたから…。」







「え…?」









想像もしていなかった台詞に戸惑って和泉さんを見上げると、切なそうに微笑まれる。









「…私は、琉空の母親じゃないわ。和泉 椿です。…琉空の母親の百合は、……」










椿さんの言葉を聞いた途端、頭が真っ白になった。










強く地面を打ち付ける雨の音がやけに大きく聞こえて、鼓膜を振動させる。









どうして、ってそれしか浮かばなくて。









常に私たちは幸せを求めていた。








だから、ただひたすらその道を歩んでいく。








でも、…だからって。








─── 「百合は、事故で約15年間の記憶を失くしているの。……琉空のことを百合は一切覚えていない。…存在自体、忘れているのよ。」









そんなの、どう受け止めればいいの。