あの日から1週間経っても、この街に百合さんと椿さんがいる、という以上の情報はなくて。
…なかなか目星すらつかない。
やっぱり中学生ができることなんて限られていて。
それを嫌でも実感させられる日々だった。
なんで、中学生なんだろう…。
もっと、もっと大人だったら琉空のこと、助けられるのに…。
とりあえず今までの情報の整理とかしよう、ってことで琉空のマンションへ向かっている中、そんなことを思う。
雨が結構激しく降っていて、水たまりを避けながら進むと見覚えのあるマンションのエントランスについた。
傘を畳みながら中へ入ると、黒い大きな女優帽を被った綺麗な女の人と目が合って軽く会釈する。
そのまま琉空の部屋番号を押すと、ピンポンと鳴り続けるだけで一向に返事が返ってこない。
「…出ないし…。」
今日って約束したのにな…。
「…すみません、あの…」
「…はい、あ、私ですか?」
寝てるのかも、と思って携帯を取り出そうと鞄を覗いた時にさっき見た女の人が話しかけてきて振り向く。
帽子から覗く顔は、大人なのに歳を感じさせないくらい綺麗で、思わず目を見開いた。
でも、次の質問に息が詰まるくらい驚く。
「…貴方…、琉空の知り合い?」


