涙色の空をキミに。









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「初めまして。理緒様から話は伺っております。どうぞ。」








理緒と話し合って、提案を受けた週の土曜日に彩達と行ったカフェで待ち合わせになった。







琉空を連れてカフェに入ると、もうすでにいらっしゃって、急いで駆け寄る。










「…は、初めまして。」







「初めまして、お願いします。」









緊張している私に対してリラックスした様子の琉空。








…いや、まるで執事みたいにキチッと着こなしたスーツ姿でメガネを掛けている若い男の人が目の前にいて、緊張しないほうがおかしくない?









理緒曰く、「執事じゃないわ、使用人。」らしいけど、何がどう違うの。










「えっと、夢空様と…、琉空様ですね。改めまして、峰沢(みねさわ)と申します。」









そんなことをぐるぐる考えているうちに、ペコリと頭を下げた峰沢さんに合わせて慌てて礼をする。









途中で琉空が少しだけはにかんだように感じたけど、なんでそんなに落ち着いてられるんだろう。









「…どうぞ座ってください。」








顔を上げてすぐに促された言葉の通りに椅子に座ると、適当に頼んでくれていたらしいココアがやってきた。









置かれる衝撃で少しだけ揺れる水面を見ると、峰沢さんが口を開いた音が聞こえる。









「理緒様から人探し、というご用件で伺いました。力不足ではありますが、少しでも役に立てれれば幸いです。」







「いえ、こちらこそ無理を言って会っていただきありがとうございます。…単刀直入に言うと探しているのは、母なんです。」









ほんの僅かに身を乗り出して話した琉空に思わず驚く。









宣言通り単刀直入すぎる。








焦ってチラッと見ると、峰沢さんのメガネの奥の瞳は無表情で何を考えているのかは分からなかった。








それでもあんまり驚いていないみたいで、なるほど、と呟いている。









「…失礼ですがお母さんの名前は?」







「天川百合です。…でも、旧姓の和泉百合、かもしれません。」










いずみ ゆり…、小さく繰り返すと、峰沢さんが手帳を取り出した。








…よく読めないけれど、何かがギッシリと書き込まれている。