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「んー…、市役所はさすがに個人情報だから簡単に見せてもらえないと思うしなあ…。」
家で珍しくパソコンの前に座って、悩む。
…人探しって、案外難しい。
中学生の私達に探偵を雇うお金はないし、SNSに情報を載せるわけにもいかない。
住民票を移していたら今の住所がわかると思ったけど、どうやら市役所は個人情報の観点から見せてもらえないんじゃないか、ってサイトには書いてあった。
…それ以前に中学生だけで行って、まともに相手にしてもらえるのか?
うーん…、と唸りながら頭を抱えるとヒョコっと後ろから覗き込まれた気配がして、顔を上げたら案の定結衣が不思議そうに画面を見ていた。
「人探しの方法…って、お姉ちゃん誰か探してるの?」
「うん、ちょっとね、知り合いを。」
「ふうん…、でも地図的に狭いこの市も実際はすごい広いからさ、日本全国範囲を広げたらキリないよね。」
結衣の言葉に、不意を突かれて驚く。
そうだ、百合さんとか椿さんがこの街にいるって保証もないんだ…。
日本だけじゃなくて世界にまで範囲を広げたらって考えただけで気が遠くなる。
「その探している人は、お姉ちゃんにとって大切な人?」
「…大切な人っていうか…、私にとって大切な人の、大切な人。私は直接に大切ってわけじゃないんだけど、力になりたいなって。」
私がそう言うと、納得したように結衣がそっか、と呟く。
「私もお姉ちゃんが困ってるなら助けたいから、出来ることがあったら言ってね。」
微笑んだ結衣にありがとうって微笑み返すと、頑張ってねと言われた。
…大切な人の輪。
直接的に面識がなくても、誰かを助けたいって気持ちはきっと輪になって繋がるんだなって。
なんとなく、そう思った。