ハッと飛び起きて辺りを見渡す。







いつもと変わらない天井。何の変哲も無い自分の部屋。









…夢、か。







変な夢だった。しかも昔の夢。








今更泣き叫ぶなんて、…その当時でさえ、ほとんど泣かなかったのに。









頭をガシガシと掻いて、水でも飲もうとベッドから足を下ろす。









無駄に広いリビングを1人歩いてから、キッチンへ行ってコップに水を注いだ。










…あんな夢、最近は絶対に見なかったのに。










「…過去は、過去。忘れろ、俺。」








自分に言い聞かせるみたいに呟いて水を喉へ通す。









全部、過去で終わらせたんだ。不完全かもしれないけどそれで終わらせた。










だから、後は忘れるだけ。









それなのに、最近になってまた強く思い出してしまうのには心当たりがあった。








…美浜夢空の存在。








同い年って言われても驚くくらい美人で、大人っぽい。










誰かと一緒に居続けることに少し臆してしまう俺が、唯一安心して心地良く笑い合える相手。