「ただいま。」








「おかえりなさい。」









3人と別れて家に入ると、お母さんが微笑みながら私を迎えてくれる。









お母さんと一言二言交わして制服を着替えようと思って部屋に向かったところで、思い浮かぶのは彩達との会話とさっきの手帳の存在。








制服をハンガーにかけて洋服に着替えてから気になって仕方がなかった手帳を鞄から取り出す。









…シンプルな青いカバー。









まるで、青い空みたいな色。










罪悪感を感じながらも恐る恐る1ページ開いてみる。









『どこにいるんだろう?淡い希望を持つのも、もうやめたほうがいい?」









微かに震えが残る字で書き込まれた一文。








ねえ、何があったの…?琉空は、何に苦しんでるの…?










『…琉空、家の人とかって、大丈夫なの?』







『あー…、うん。今は出かけてるから気にしなくていいよ。』











その時、ふと琉空の家にお邪魔した時の記憶が蘇る。








…そういえば、琉空の家にお邪魔した時もお家の人いなかった。









『んー…、そういえば琉空くんの家の人、見たことないかも。』








『二者懇談になってたと思う。』








そのあと続けて思い出したのはついさっきの渚沙と夏芽の会話。









……ま、さか。









たった1つだけ浮かんだ仮説が、頭の中を占めて。









……琉空の元へ行かなくちゃ。