涙色の空をキミに。









「ん……、あ、寝てたんだ…。あれ、夢空どうしたのこんなところで。」








「いやそれこっちのセリフなんだけど。」








「あー…、俺は、…ちょっと考え事してただけ。夢空は?」









寝ぼけたような顔で状況を確認した琉空が、背伸びをしながら私を見る。









考え事って、なんでここで…?







「絵、完成したから取りに来たの。」







不審に思いながらも琉空の質問に答えると、ああって納得の顔をされる。








「俺も完成の瞬間見たかったのに、夢空、俺がいないときに仕上げるんだもん。ずるい。」







「委員会で代表になった琉空が悪いんでしょ。」







「あ、俺が休んでてもう決定事項で委員会決められてたの知ってるくせに。」









むうっとした顔をする琉空に、なんだかおかしくなってつい吹き出す。








だって、大人っぽくて綺麗な顔してるのに、…まるで子供みたいじゃない。








「…でも、完成おめでとう。」






「ありがとう。」









ふわっと柔らかく微笑んだ琉空に、お礼を言う。







琉空がいないときに完成したって伝えたら予想通りすごく悔しがって、でもその後に「やっぱり夢空の絵、俺好きだよ。」と言ってくれたのを思い出す。








…私の絵が誰かに好きって言ってもらえて、すごくすごく嬉しかったな。








「ていうか、琉空そろそろテスト始まるけどこんなとこで寝てていいの?勉強は?」







「聞こえなかったフリしたい。」







「私達、受験生なんですけど。」








そういえばそうだね、なんて言うからまた私が笑うと、なんで笑うの、って少し不満そうだった琉空もすぐに笑った。







「…………そういえば琉空ってもう高校決めてる?」







「ん?ううん、まだ全然。これからどうなるかわかんないから。」









能天気そうに欠伸をした琉空に若干呆れながら、微笑む。









やっぱりみんなまだ決めてない、か。







…でも、本当そろそろ決めなきゃいけないよね。