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授業ギリギリで戻ってきた理緒軍団は、休み時間の度に教室から出て行ってしまって、理緒も話しかけられる状況じゃなくて、ついに放課後まで何も出来なかった。









「夢空、今日バスケ部、部活ないから夏芽と先帰るね?」






「うん、分かった。また明日ね。」








鞄に教科書を入れながら、彩の話を了承した。








確か渚沙は吹奏楽部だっけ。学園祭の発表でフルートを吹いていた気がする。








渚沙とフルートってなんか似合うな。








ボーッと考えていると、理緒が「ちょ、ちょっと!!」なんて明らか不器用に誰かを呼び止めていて、何事かと顔を上げると理緒軍団がちょうど扉から出ようとしていた時だった。








驚いたように振り向いた3人と理緒の目があって、クラス内もしん、と静まる。








「…あなた達のこと、誤解してた。傷つけた。……ごめんなさい。」








全員が注目していた理緒がそういった瞬間、全員が驚きで固まる。









だってあの理緒が、頭を下げて謝ったから。









自分の非を認めて、それを不格好でもちゃんと伝えているから。









「……あなた達と一緒にいれて楽しかったのに、私のことを怖がっているのはわかっていたから素直になれなくて、私のこと嫌っているのに仕方なく一緒にいてくれてるんだってずっと言い聞かせてた…ごめん、ずっとずっと、そんなことしか考えて過ごせなくて。ごめん、ずっとあなた達の優しさも気持ちも誤解していて…っ。」








今までずっと知らなかった弱い理緒の部分。








あんなに強いと思っていた理緒だって、完璧な訳じゃない。








強がっていただけで、弱さがなかったわけじゃない。









…かっこ悪くて、でも誰もが持っているずっと人間らしい弱い部分を今、見せてるんだ。








「…理緒、顔上げて。」









振り向いた理緒軍団が、手を震わせながら頭を下げ続けていた理緒に近付く。