それからも入江先輩からの毎日のメールは続いた。
別に嫌な訳ではない……。
でも、器用じゃない私にとって先輩からの優しいメールは、とても重荷に感じていた。
いつものように、毎日の手紙を井関先生に訳してもらいに行こうと、教室を出ると、他のクラスの女子が声をかけてきた。
「ねぇねぇ、杏」
「ん？なに？」
廊下に居る生徒たちから少し離れると、声のトーンを落とし話し始めた。
「この間、駅前の店で３年の入江先輩と杏が一緒にいるところ見たんだけど、先輩と付き合ってるの？」
「えっ、付き合ってないよ」
同じ学校の生徒も沢山集まるところ。
誰に見られていても、おかしくないと分かっていても、やはり気分は良くない質問だった。
「なんで？入江先輩とよく話すけど、付き合ってないし」
「うん……前にね、他校の友達が入江先輩と付き合ってたことがあってね……」
「……」
あのルックスだもん、彼女居ない方がおかしいくらいだけど……。
