「……杏がそんなふうに言うなんて……。
あんなに先生が好きだって言ってたのに……。先生のお陰で夢も見つけられたって……」
「……そう、それにね!
あのアールグレイ、やっぱり入江先輩からだったんだ」
「え!?入江先輩だったの!?」
「うん」
先輩から聞いた時、正直ショックだった……。
もしかしたら入江先輩かもしれない……そんな思いはあっても、なぜか確信を得るのが怖かった……。
でも、それを証拠に先輩と付き合い出して、手紙もアールグレイも届かなくなったのだ。
「……だけど……」
ミカがうつ向きながら、小さな声で話し始めた。
「よりによって先生を好きになるなんて……私があんなこと言ったから杏の気持ちが変わってしまったのかもしれない……。
でも、無責任かもしれないけど……」
「……」
「……私は先生を好きでいる杏で居てほしかった……」
「……ミカ」
「今の杏、私には解らない……今の杏……好きじゃない!」
ミカは走って行ってしまった。
言葉とその後ろ姿から、怒っているのがわかった。
「……ミカ……ごめん……」
ミカにも言えない……。
ごめん、ミカ……。
胸が痛い……。
私はどうしたら、いいの……?