「私と付き合ってるって、先輩がみんなに言ってるのかな……」
「先輩のその執着心が、今は杏に向いてるってこと?」
ゾクッ……
私はその言葉に恐怖を感じた……。
「……だって私、先輩と付き合ってたわけじゃないし……。
好きな人が居るって断ったのに……。
執着される覚えない……、それにもし、付き合ってるなんて噂が先生の耳に入ったら……。
先生に誤解してほしくないよ……」
「うん、そうだよね。
ちょっと遠回し気味に、リクにも聞いてみる。
リクじゃわかんないかもしれないけど、入江先輩と同じクラスの人なら、先輩がどんな人なのかわかるだろうし。
対処の仕方も見つかるかも」
「……ありがと」
頭の中がいっぱいだった……。
井関先生のこと
入江先輩のこと
現実はどうして、いつも
望む方向へ進んではくれないんだろう……。
大好きな泉屋のお菓子が、今日はノドを通らなかった。