「いやっ!」 ドン! 私は先輩を突き飛ばし、全力で走り出した。 「杏!」 先輩の大きな声が、後ろで響いた。 息が切れる。 どこを走っているのかわからなくなるくらい、 校内を夢中で走った。 「杏!」 腕をつかまれ 「いやぁ!!」 振り払い、叫んだ。 「杏! おい! 杏、どうした!?」 私の手を引き寄せ、何度も名前を叫ぶ。 そこに居たのは 井関先生だった。