ただ、君の隣にいたいだけ

「・・・花菜。そろそろ写真会の整理券配るみたいだから並んで来いよ。俺、明海と待ってるから」



「へっ?写真会?」



「だから、あの行列。ほらっ早く行かないと明海が写真撮れなくなるからさ、早く行って来いよ」



だ、誰ですか?でもとりあえず助けてくれたってことなのかな?いや、別に助けてくれとは言ってないけど。渋々と袋を片手に立ち上がる。


ごめんねと同級生の男子には声を掛けて。それにしてもなんで不機嫌になるの?私、亮輔さんにそんな態度取られる覚えないんですけど。


しかも私が行列に並ばなくちゃいけないわけ?普通、こういうのは男の人の仕事だと思うんですけどね。仕方が無いからスマホのゲームを片手に列が進むのを待ちますか。



あまりにも長い行列のために少し早めに整理券の配布が始まる。少しずつだけれどゆっくり進み始めてゲームに夢中にもなっていられない。


チラリと二人に視線をやると亮輔さんの頭だけが見えた。明海は?小さいから見えないだけかな?もしかして寝てるのかな。朝、早かったもんね。ようやくもらえた整理券。56番だから5番目。



写真は10人単位で撮るみたい。それでも子どもたちには夢のような写真なんだろうな。