ただ、君の隣にいたいだけ

火花が飛び散る中、怪人と戦うヒーロー。武器を使いこなし、華麗な身のこなしを見せる。それだけじゃない、そのヒーローの性格をちゃんと理解してなりきっている。


今までそんなこと一度も気にしたことなかった。でも、この人たちは自分の顔が出るわけでもない、いわば影武者。


でも、本物なんだ。


「かっこいいよな。ここまで本物になれるのって。狭き門だし、実際テレビで活躍するようになるのなんて一握り。だけどなりたいな、本物に」



おにぎりを片手って言うのがなんだか真剣味に欠けるけれど亮輔さんが本気なことだけは伝わってきた。


スーツアクターか。だからと言って私が出来るとは到底思えないけどね。



ショッピングセンターまでは電車で15分。ちょうどこの青池線の始発駅にある。今日は梅雨の合間の晴れ間。



明海はテレビを身終えておにぎりを食べ終えると私と亮輔さんを急かす。そんなに早く行ってどうするの。ふと鏡に映る自分は普段着にジーンズ。

可愛げもない。でも今更着替えるのもなんだか狙ってるみたいな気がして嫌だな。別に亮輔さんのスーツアクターへの思いを聞いたからかっこいいなとか思ったわけじゃない。


あの人、失礼なことばかり言うし、かなりズバっと傷つけることを言ってきたもん。だけど、だけどちょっと見直した。


なんだか少し暑い気がしたからに 帽子を被った。別に他意はない。うん、ない。