ただ、君の隣にいたいだけ

「違う。改めて言わせて。俺、ちゃんと就職したよ。って言ってもアクシーズの事務所だけど。だけどちゃんと会社員になった。ヒーローショーとの二足の草鞋だけどこれからは出来なかったデートも旅行だって行けるようにお金稼ぐよ。花菜ちゃんの家は出て一人暮らしをする。そしてとりあえず目標を立てて300万貯めたら指輪持って申し込みに行く。その時は、俺と、結婚してくれるかな?」



かっこよくヒーローのように夢を叶えてから言えればよかったんだけどさ。亮輔さんが真剣に伝えてくれる一言、一言がヒーローショーの時から我慢していた涙腺に触れて私の瞳からは大洪水の涙。


ズルい。そんなこと言われて「はい」以外の返事なんて出来るはずがない。何も答えられずただ泣きじゃくる私の隣に移動してきた亮輔さんは優しく私の肩を抱いた。シャワーも浴びていないのにきつく距離を開けないように。



「いっぱい泣かせて、辛い思いをさせてごめんね。花菜ちゃんを俺、本当泣かせてばかりだね。でも、これからは約束する。泣かせない。幸せにするよ」



「私、これからも亮輔さんの彼女でいていいんですね。嬉しい。ずっともうダメなんだって諦めてたから。本当に嬉しい。ありがとうございます」



「お礼を言うのはこっち。花菜ちゃんには本当にたくさん感謝してる。あの妊娠の騒動も俺には将来を考えるいい機会になった。28歳の年相応の将来。それにあの日からずっと子どもと花菜ちゃんと俺、三人の夢見るようになったんだ。だからいつか本当にその夢、叶えてな」



「私もその夢、叶えたい。ヒーローショーもこれからますます頑張りますね」



「そうだね。まだヒーローショーもスーツアクターもそんなに知られている職業じゃないけれどいつかこの職業がもっとたくさんの人に知ってもらえて興味を持ってもらえるように俺たちで頑張ろうな」


「はい」