ただ、君の隣にいたいだけ

「今日は来てくれて本当にありがとう!!俺たちの戦いはこれで終わりだけどこれからは俺たちの代わりにスピンレンジャーが守ってくれるからみんなは変わらずスピンレンジャーを応援してくれ!」



ファミリーパークでの最後のショーが終わった。最初はどうなるかと思ったけれど最後は拍手喝采。その拍手が嬉しくてマスクの中で嗚咽が漏れそうになる。


でも、まだここはステージの上。子供たちに大きく手を振ってナイトピンクでの役割を終えるまでは。



「おつかれさまでしたー!!」



控えに戻り、子どもたちがいないことを確認してみんなで一斉にマスクを脱ぐ。でもただ一人、マスクを被ったままのヒーローがいる。もちろん、みんなの目は集中。


もちろん、そのヒーローの中にいる人もみんなが誰だかわかっている。



「おいっ、亮輔!どういうつもりか説明しろ」



みんなの表情を汲み取ってか野村さんが亮輔さんを、スピンレッドを問いただす。その言葉に渋々と観念したのかゆっくりとマスクに手を掛けて素顔を露わにした。



「みんな、ごめん!!勝手な真似して。それに黙っていなくなって本当にごめん。言い訳にしかならないかもしれないけどずっと悩んでてやっと答えが出たんだ」



大きく頭をみんなに向けて下げる亮輔さん。こんなにも会いたかった人が目の前にいるのに私は何も言えず、動くことも出来なかった。



「本当勝手だよ、亮輔。花菜ちゃんにも何も言わず飛び出して行っておいて一番いいところだけ持っていくなんて」



「ごめん。俺、12月にスピンレンジャーの戦闘員の役をもらったんだ。でも結局、断った。もちろん、俺はスーツアクターになりたかった。夢の第一歩だった。だけど俺、やっぱりスーツアクターとして活躍するよりもヒーローショーで子どもたちの声援や笑顔を直接、受けたい。やっぱりヒーローショーが好きだって実感した。本物はすごいよ。スケールも撮影方法も臨場感だって全然違う。でも、それを目の当たりにしてもヒーローショーで使えない部分はないかとかそんなことばかり考えていた。そして気がついた。俺、ヒーローショーがやりたいって。プロダクションも辞めてきた。謝って謝ってやっと背中を押してもらった。そこまでヒーローショーが好きならヒーローショーで認められるくらいすごいもの作れって」