ただ、君の隣にいたいだけ

「野村さん、私たちは子どもたちが間近で見ることが出来る本物ですよ。真似事なんかじゃない。直に触れ合える本物のヒーローなんです。だって子どもたちはマスクを被り、スーツを着れば誰だって本物のヒーローだって疑わない。だから真似事なんて言わないでください」



口を挟まずにはいられなかった。きっと野村さんは分かってる。だけどカッとなって出てしまったんだと思う。でもそれを見逃したりなんて出来なかった。


私たちアクシーズがやってることは真似事なんかじゃない。正真正銘、本物の子どもたちに夢を与えるヒーローショーだから。



「・・・ごめんな、花菜ちゃん。そうだな。俺、焦ってた。自分で亮輔と同じことは出来ないって分かっていたけどどうしても亮輔の穴を埋めなきゃアクシーズが成り立たない気がしてた。チビの言うとおりだよな。怒鳴りつけるだけじゃわかんないよな。もっと俺も亮輔に近づけるように頑張る。ごめんな、みんな」



「野村さん、俺もすいませんでした。自分が出来ていないところを指摘されて当たってました。これからはもっと自分で理解出来るよう頑張っていきます」



野村さんをリーダーにようやく纏まった新アクシーズ。だけどやっぱり私は亮輔さんの面影を探してしまう。亮輔さんのキレのある綺麗な立ち回り。


思い浮かべて同じように身体を動かしても亮輔さんのようにはいかない。肩を上げるなと注意されて最初は何度もつまづいた。その肩が上がらなくなったのも亮輔さんのおかげ。亮輔さんがちゃんと指導してくれたから。


私がここにいられるのも亮輔さんのおかげ。だから感謝して亮輔さんの夢を応援しなきゃいけない。頭では分かってる。でも振り切れない思いがここにある。


考えないようにアルバイトの時間も増やしてすぐにアクシーズの練習に行く。自分の空白の時間が出来ないように。移動時間も常にヒーローショーのことを無理にでも考えるようにしている。


私にはこれが一番大事だと。