私、いつも亮輔さんに助けられてる。私も何かしたい。でも、亮輔さんに何をしたら喜んでもらえるのかわからない。付き合って三ヶ月、一番最初ぶち当たる壁。実際、亮輔さんは今週から東京に行っている。来年の話をするために。


浮気するなよと頭を撫でてくれたからしないよと笑顔で見送ったけど本当は行って欲しくない。でもそんなこと絶対に言えない。亮輔さんの負担にだけはなりたくない。



「可愛い。愛梨さん。そのペンダント」



アクシーズの今年の活動はつい最近終わった秋のショーでおしまい。だから来月、12月まではお休み。亮輔さんもいない。明海も9月から子供教室に通うようになって時間も暇も持て余していた私はお給料ももらったことで愛梨さんと綾羽さんを誘ってランチに来ていた。



練習のときと違って、愛梨さんも綾羽さんもオシャレ。愛梨さんは綺麗めカジュアル。綾羽さんはオフィスカジュアルの格好。年相応でとても似合ってる。私はというと無難な服装。



そんなオシャレに無頓着な私が飛びついた愛梨さんの胸元にキラリと光るペンダント。クロスのペンダントで小さな石が彫り込まれている。



「あっ、これ?彼とペアなんだ」



ペンダントに触れながらさらりと言い放つ愛梨さんは来年あたりには結婚するらしい。結婚か。私には全然まだまだ無縁の話。綾羽さんはノロけるなって口を尖らせているけれどメンバーの幸せそうな笑顔を見ていると嬉しくなってくる。


そうそう綾羽さんも庄野くんと付き合うことになったんだ。本当、報告されたときは嬉しくて抱きついたんだっけ。