「頼むよ。でないと毎日、苦しいんだ。花菜ちゃんが誰かと話すだけで嫉妬でおかしくなるよ」



「だったら上京するまではそばにいてくれますか?こうやって抱きしめてくれますか?名目上だけじゃなくちゃんと彼女として愛してください。それだけでいい。幸せは私が決めること。涙を流すのはそれだけ亮輔さんのことが好きな証拠。それでも気持ちには応えられませんか?」



「花菜ちゃん・・・」



「名目上なんて絶対に嫌。ちゃんと私の気持ちに応えてくれるのなら私は今日からあなたのものです。でも、名目上だけなら他の人に頼んでください。好きな人の名目上だけの彼女なんてそんなの絶対に嫌だし、そんなこと言うなんて亮輔さんは私の気持ちを勝手に消したようなもんです」



「・・・ごめん。臆病で。離れることが分かっているからどうしても君の気持ちよりも自分のことばかりになってしまった。本当にいいの?俺、花菜ちゃんの本物の彼氏になっても」



「・・・私は、亮輔さんの本物の彼女になりたい」



「ありがとう。花菜ちゃん、好きだよ。誰にも渡したくない。俺の彼女になってください」



もう一度、彼の腕の中に閉じ込められた。でも今度は離さないと言わんばかりにきつく、強く抱きしめられる。


私、亮輔さんの彼女なんだ。ちゃんと名目上だけじゃない本物の彼女になれたんだ。



「あのさ、彼氏、彼女としてちゃんとキスしても、いいですか?」



「・・・はい」



波の音をバックに私たちは彼氏彼女として初めてのキスを交わした。