ただ、君の隣にいたいだけ

「それにしても今日のショーは楽しかったな。まさかのアクシデントだったし、それが返って功を奏したよな」


「うん、敵がお姫様抱っこなんて前代未聞だけど今までのアクシデントの中で一番盛り上がったし、お母さんとか騒いでたよ」



野村さんと愛梨さんの会話を聞いてそっとマスクに手を掛け、外す。同情や気を遣ってじゃなく本当にみんなが楽しかったというような清々しい表情。



「すいませんでした!!私のせいでみんなに迷惑を掛けて・・・」



「楽しかったわよ。久々のアドリブ、萩原さんと腕が鳴ったわ。それにアクシデントなんてつきもの。それで舞台に支障をきたしたわけじゃないんだしね」



「そうだよ、花菜ちゃん。一発勝負の本番、何が起こるかなんてわからない。もちろん、何も起こらないことに越したことはないけど起きてしまったら仕方ない。それを何もなかったかのように続けられたらそれは成功だよ。それに仕事だって部下が失敗すれば上司がフォローする。この仕事だって同じ。だから気にしなくていいし、みんなもちゃんと分かってる」



「そうだよ、花菜ちゃん。花菜ちゃんは立てなくなっただけだけど、あたしなんて本物のミスしたことあるんだよ。でもちゃんとフォローしてくれたからあたしはまだここで頑張れてる。だから気にせず次の舞台も頑張ろう。今日は本当に盛り上がっていい演出になったんだしね」




みんなが私を囲んで笑顔をくれる。私が迷惑を掛けたって思って申し訳ない気持ちでいることが間違っているかのように。

だから私が悪かった、私のせいで迷惑を掛けたなんて思うとみんなの気持ちに失礼な気がする。



「ありがとうございます!これからも精一杯頑張るのでよろしくお願いします」



笑顔でそう言い、もう今日のことを失敗だと思わないって決めてみんなの前でもう一度頭を下げた。